英国魚事情 fish in UK

  海外に住んでいると、日本食にも飢えるが、日本語にも飢える。アイパッドを買ったこともあり、小説を読んでいる。青空文庫という日本国内で著作権がなくなった文学作品を収集・公開しているインターネットの電子図書館があるが、その中に美食家で知られる北大路魯山人のものがあった。竹を割ったようなシンプルな文体で、率直なエッセイ集が公開されている。今回は魯山人的な美食の随筆を目指して書きたい。もちろん題目は「魚」である。

 イギリスに来る日本人はこちらの魚はおいしくないと一点張りだが、それはパブでよく出される、あのフィッシュケーキのせいではないかと思う。鮭や白身魚のコロッケ的なあの存在がそうさせるに違いない。はっきり言おう。私はロンドン生活が10年以上になるが、あのフィッシュケーキなるものを注文して食べるに値するものに出会った事などない。非常に残念である。パブではソーセージとマッシュポテトとかラムのミントソース合えを頼んだほうが安牌なのだ。

   しかしながら実はイギリスの魚介類でも美味しいものはある。鮭や岩牡蠣は旨い。これらは養殖、天然どちらもスコットランドから輸送され、通常ロンドン東部カナリーワーフのブリングスゲート・マーケットに集まる。この魚市場で日系の魚屋もみな、ここから購入している。一部の魚屋は鮪、鮭、ホタテの類だけは独自の入手経路を持っているが、それは一般的ではない。 日本の魚市場というと、魚屋や利用理や以外は購入できない「一般客お断り」の店も多く、素人は歓迎されないイメージがあるが、ロンドンでは12歳以下の子供は以外は誰でもウェルカムである。しかし火曜日から土曜日の早朝4時から9時半の短い時間だけしか開いていない。早起きが必要である。残念なことにこの市場にはコーヒーショップはあるが、築地のように魚料理を出す店は一つもない。普通のサンドイッチやスープ、沸騰した牛乳にインスタントを入れた甘ったるいコヒーしか飲めない。砂糖なしであれだけ甘いのだから、店員に砂糖の数を聞かれたら、「糖尿なるわ」とサンドイッチマンの伊達の突っ込みで良い。あいにく魚介類の少量での購入は出来ない。鮭なら1本(6キロ)程度、小魚なら5キロぐらいから買う必要がある。スーパーマーケットや禁書の魚屋のようには買えない。業者買いが必要だ。大勢を招いて鍋がしたいのであれば問題ない。 

  日本でもそうだが、やはり魚の目玉になるのは鮪である。しかしロンドンでは天然の本鮪はほとんど食べられれない。天然であるのはキハダかメバチであり、本鮪は養殖がほとんどである。仕入れにくる魚屋はキハダやメバチの場合、産地だけを聞く。それがモロッコ沖産だとか、インド洋産だとかはこだわるが、それが養殖か天然かはきかない。養殖なんかないからのであ。そう考えるとむしろ養殖の本鮪よりも上等なものに思えるが、実際は養殖の本鮪のほうが高額である。本鮪は養殖でも赤身もトロも身がしまり、味がまろやかである。天然の本鮪が食べられる日本がどれだけすばらしいかわかっていただけるであろうか。

  ビリングルス・マーケットに仕入れに来る、日本の魚屋と地元の魚屋の違いは何だろうか。それは日本の魚屋のほうが早起きだということに尽きる。彼らは市場が開く前から待機し、市場が開くと同時に確実な魚を目利きをもってして、新鮮なものを選ぶ。現地の業者はのんびり5時、6時にぶらりとやってきて、残りものをもっていくだけである。ロンドンの魚市場が火曜日から土曜日しか開いていないという原則があるので、月曜日にレストランに行くのはいただけない。その魚がどんなに新鮮だといっても、それは土曜日に買ったものだからである。

  日本の料理屋がサーモン丼なるものを提供している。通常わざび醤油で食べるが、一部の店では出汁と生姜で食べさせている。これもなかなか美味い。

   岩牡蠣はRのつく月が美味いとされるように、5月から8月は食中毒の可能性があるとされる。通常ヨーロッパでは少量のレモンと大胆にもタバスコで食べる。臭みが全くなくなり、食べやすい。スコットランドの一部の島では取れたてのものに、シングルモルトのウィスキーをかけて食べる。

 

 他の魚でよく出回る鱸(シーバス)と鯛(ブリーム)である。鯛はヨーロッパでは高級魚ではなく、小ぶりだ。二匹で5ポンド程度でモリソンズで買える。鯖より若干高いが程度。オーブンで塩焼きにし、醤油とレモンで食べる。美味い。平目(タブボット)はヨーロッパでも高級魚であり、鰈(プレイス)のほうが安いのは日本と同じようである。鰈をレモンバーターのソテーで食べるのは美味い。ノッティングヒルゲートのケンジントンチャーチストリートにある「ケンジントンプレイス」の魚料理は絶品である。鮮魚も購入出来る。

 

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