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英国交通事情 恐怖の路上駐車! Fear of Street, Parking in UK.

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Shin

 イギリスに到着して、日本大使館に出向き申請用紙をもうらう。DVLA(運転免許センター)に日本の免許を送付する。2週間後に運転免許センターからEUの運転免許が送られてくる。

 日本の方が車を運転したいなら、イギリスに来て最初にする手続きです。そしてイギリスでの交通ルールを知らないまま、まあ同じ左側通行だしなんとかなるもんでしょうみたいなノリで運転しているヤカラが沢山います。そう心配しないでください。実は私もそんうなんです。幸いにも大きな事故はありませんが、11年中、2回ほど対物の保険沙汰はありましたが。

 当初義父(訳あって、私イギリス人と結婚しまして)に、「お前はイギリスで自転車にちゃんと乗れるから車も運転できる」と意味不明のアドバイスをもらい、いきなり路上を経験した私ですが、やっぱりいろんな罠と計謀が大英帝国の路上にありました。認識不可能な標識や若干浮き上がったこぶ(バンプ)はまだしも、ふたつの鉄のポールが立った狭い間を根性試しさせられるトラップに至っては何度サイドミラーをペコンとさせられたことか。

 今なら義父の発言の意味がわかります。イギリスでは自転車の運転も車の運転ルールを守らねばならず、若かりし日にロンドンからオックスフォードを経由し、ストラトフォードアボンエイボンまで自転車でA40をそのまま西北西に、『AtoZ Map』を片手に突き進んでいった私を覚えていてそう言ったのでしょう。ところが肝心の当人が交通法規なるものをちゃんと理解していたかは疑わしく、モーターウェイ(料金所のない高速道路)をなんかちょっと危ない道だなと思いながらもつきすすんだだけの知識で実際、イギリスの公道を車でやってのけることといえば、アイドルグループSMAPと防寒用の下着のスパッツ、モト冬樹とニコラスケイジの違いのようなもので、実は似て非なるものなのです。

 といっても、『地球の歩き方 イギリス』とかに書いてあるラウンドアバウトの入り方と制限速度を知っておけば基本的には日本の自動車学校で習得した技術を巧みなく発揮し、イギリスの路上をサバイバルすることは可能なはずです。

 ただひたすらですが、イギリスの公道での駐車が大変難しい。特にコンジェスチョンチャージエリア(混雑税がかかるエリア)では。最近罰金がかさむことに気付きました。そのお金でいったい何が買えたかと後悔する暇もなく、また罰金を喰らうという悪循環が続きました。

 路上駐車の罰金が信じられないほど高いです。このシステムのためにどれだけの大和の民、そして他の外国人がこのイギリスでパーキングワーデン(路駐監視員)の生活を養うことに貢献しているかを考えれば、ヒースロー空港の入国審査で、「あ、君は今月120ポンド路駐の罰金を支払ってるから、君はよくやってくれた」と言って、あの税関での長い列から開放してすぐにゲートを通してくれて、さらにファーストクラスのランジに通されて、ボウモアかシーバスリーガルみたいなシングルモルトのスコッチウィスキーの御もてなしなんかあって、そしてマッサージチェアなんかでくつろいで、忙しなく税関をスルーする、ただただつまらないイギリス人や欧州人を見ながら、さすが英国ですね見たいな会話をアメリカ人なんかと、お前も俺と一緒で、いっぱい罰金払ってる貢献人かい!今月はいくら?エグいな、みたいな、くつろいだ空間が生まれている!なんて、そんなファンタジーな世界ではないんです、現実は。

 路上駐車をするには、パーキングメーターにお金を入れるか、在住で常に一定の場所で路駐するには路上駐車許可証: Resident Permitが必要で、それを取得するにはご自身が住んでいるカウンシル(地方自治体)にお金を払って、申込書と一緒に車の保険や、車の所有証明、住所の確認として賃貸契約書などを提出します。それで自宅周辺の決められたゾーンでパーキングができます。ケンジントンチェルシー区の場合、区内はどこでも駐車が可能なので、例えばノッティングヒルに住みながらハロッズに車で行って路上駐車することも可能です。

 私が車を持って一ヶ月、路上駐車許可なしでカムデン地区をサバイバルすることができました。というのも自宅のそばにある看板は「朝8時半から夜の6時半、月曜日から金曜日までは路上駐車パーミットが必要です」という意味だからです。逆に言えば月曜日から金曜日の夜の6時半から、朝の8時29分59秒までと土日はパーミットがなくても駐車可能なのです。朝一で仕事に車で出かけて夜に帰宅する私にとっては、基本的に路上駐車許可が必要なかった訳です。

 あくる日、風邪を引いてしまい、そのため朝11時に起きたときには路上に車はなく、カウンシルにレッカー費用として280ポンドを支払うはめになりました。事務所に行って、腹痛で一時間ほどトイレにこももるしかなかったとかなんとか言い逃れをしようとしたのですが、彼らは8時40分にチケットを切ったこと、その2時間後にクランプをタイヤにはめたこと、さらに1時間後にレッカーしたことを淡々とターミネーターのように無機質に説明するばかり。うなぎと梅干、巨人と阪神、トットナムとアーセナル、TBSジャンクの深夜ラジオを愛する浪人生とニッポン放送を愛聴する現役高校生がそうであるように、犬と猿の関係である我々は、その対象とは決して深交を結ぶことはないことを今ここに明確に認識したのであります。その翌日遅ればせながらカウンシルに路駐許可を申請してきました。

 次回は路駐監視員とも共存できる住み良いロンドン生活の実現に向けてこの執拗な取締りから具体的にどのように逃れるかということを科学的かつ平易に御紹介できればと考えております。『地球の歩き方 イギリス』ではロンドンのような大都市では駐車場はみつけにくいので、なれないうちは車での乗り入れは控えようとアドバイスがありました。

 
ABOUT ME
西島 伸一朗
西島 伸一朗
イギリス賃貸コンサルタント/ブロガー/クリーナー
2007年にロンドンに移住して、日系の不動産会社に就職し、賃貸コンサルタントを長年続ける。2019年に独立し、現在はロンドンだけでなく、ケンブリッジ、オックスフォード、ブライトン、カーディフ、マンチェスター、リーズ、ダービー、エジンバラ、リバープール、ブリストルなどの賃貸物件をLineで探すサービスを提供している。アーセナルとサウナをこよなく好む。
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