サッカーファン母 渡英するの巻  My mum is a Football fans.She came to UK.

英国サッカー事情 Football in UK

 母が初めて渡英することになったのは、今から7年ぐらい前の事だ。稲刈り、町内会の世話、祖父の介護などで忙しかった彼女だが、その年の前年に私の祖父が亡くなり、若干暇になった。この旅行で多くは望まなかったが、母が唯一熱望した事、それがプレミアリーグの観戦だった。母は農作業の間に、30年近く前からWOWOWに熱心に視聴料を払い、いつの間にかヨーロッパサッカー及び大リーグファンになっていた。

 今まで出来なかった親孝行をするチャンスだと思い、早速ウェブで検索すると、たくさんのチケットサイトが出てきた。その当時はそんなにサッカーに熱心とは言い難く、小中学校の頃に購読していた少年ジャンプ『キャプテン翼』に出てくる立花兄妹のスカイラブハリケーンを友人たちとやってみて、次藤君役をやって太ももの筋肉を痛めたあたりから、熱は収まっていった。そんな具合なので、チケットの取り方もよくわかっていなかったのである。試合まで、母が来るまで3ヶ月もあった。早く買えば安くなると思った私は、母がファンだというチェルシーFCのチケットを早速予約した。3席で420ポンド(約6万円)した。少々高額だなとは思ったが、相場も知らなかったので、こんなものなのかと思っていた。

 ところが翌日アーセナルファンの上司に聞くと、騙されたなと言われた。大量に存在するインターネット上のチケットサイトは、年間パスを利用して顧客に貸しているダフ屋だったのだ。変なサイトでチケットを買ってしまったなと後悔した。その後2週間経ってもチケットは送られて来なかった。サイトの運営に連絡すると、試合の1週間前まではチケットが届かないとうことである。そんなある日、その業者からメールが届いた。124ポンドの未払いがあるから、私の銀行口座から差し引いておくとの事。怪しいサイトに引っかかったようだから、銀行のカードをストップせよとのイギリスの嫁の助言。その場で銀行に電話した。その後メールで何度もチケットの運営に連絡したが、音信普通だった。

 後日サッカーの予定を確認するのに新聞を読んでいると、そのチェルシー戦が土曜日の日程から、日曜日に変更されていた。プレミアの試合は、チャンピョンズリーグ、その他の試合との兼ね合いで日程がしばしば変更になる。日曜日は母の帰国の日程だったので、母のフライトを変更するのが最善のように思えた。しかしながら、母はフライトの日程を変更することができないコンピューターお婆ちゃんだったので、日程の変更などする気がない。

 こうなると選択肢は二つしかなかった。その1。チケットをキャンセルしてお金を取り戻す。その2。チェルシーFCに土下座して、土曜日に日程を変えてもらう。後者は頭の下げ場所がわからなかったので、その1を選択した。またサイトにメールして、キャンセルしたいと伝えた。返信なし。次に留守番電話にメッセージを残した。音沙汰なし。こうなったら正式に書面で抗議するしか、直談判も止むを得ずと思ったが、その時になって初めて気づいたが、この運営の所在地がベリーズという中南米の国になっていた。グーグルマップで見るとメキシコの南側である。苦情を伝えるにはやや遠すぎだ。

 母のためにバックアッププランも用意した。試合を見せてやれないのは無念だったので、当時は2部リーグだったレスターシティの試合を予約した。今度は上司に教わった通り、公式ホームページから予約したので、二日間でチケットが届いた。二枚で90ポンド程度(約1万三千円)当時は日本人選手阿部勇樹が所属していたのだ。母はきっと喜ぶと思って電話したのだが、「ありがとう、でもプレミアが見たいの」。頑固かーい!駄々をこねる六十過ぎの母。

 当時はまだプレミアにいたフルハムの試合であれば、パットニーのスタジアムで見れるようだった。ただこれ以上お金を湯水のように使うわけにはいかなかった。チェルシー戦のチケットをキャンセルせねば。中南米のオフィスに殴り込む覚悟はあったが、その前にもう一度だけ電話をしてみると、なんと電話がつながった。責任者はボブだから、と言って彼の番号をもらった。ボブと話すとキャンセル料金として25%は徴収するとのこと。正直もうお金は諦めていたので、それに承諾すると、3日後にお金は引かれて戻ってきていた。

 母は2週間の渡英の間に2試合も観戦できて大変満足そうだった。特に2部リーグではあったが、ワトフォード対レスターの試合は、地方でありながら、超満員で湧き上がるスタジアムに何らかの感銘を受けたようである。

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