「ロンドン 賃貸」で老舗が1位を取り続ける理由|日系不動産会社のSEO分析

「ロンドン 賃貸」の検索画面とイギリスの地図を背景に、エディンバラ・マンチェスター・オックスフォードなど地方都市を示す女性のイラスト(地方SEOで勝つ)

「ロンドン 賃貸」で検索すると、1位はいつも同じ会社。しかもそのページの本文は、たった72文字です。

なぜなのか。講義の前に、実際の検索順位、各社の設立年、ページの中身を調べました。後発の弊社がどこで戦っているのか、サイトを3つに分けた理由もあわせてまとめます。

この記事は、2026年9月23日にロンドンの日本人起業家フォーラムJEEFで話した講義『選ばれる会社のつくり方〜AIで変えるブログ・SEO・集客術〜』の後半、ロンドンの日系不動産会社のSEO分析を独立させたものです。

講義全体のまとめ(ほかのテーマの記事一覧)は、姉妹サイトJPINにあります。

目次

「ロンドン 賃貸」でロンドン東京プロパティがいつも1位の理由

ロンドンの不動産屋が並ぶ通りで、検索のスポットライトが当たる店を見つめる男性のイラスト

こちら講義で使ったスライドです。

「ロンドン 賃貸」で検索すると、いつも1位に出てくる会社があります。ロンドン東京プロパティサービスです(London-Tokyo Property Services)。講義の前に、実際の順位を調べました。

順位日本から検索イギリスから検索
1ロンドン東京プロパティーサービスロンドン東京プロパティーサービス
2Japan London HomesJapan London Homes
3Kens Estateスターツ(海外事業)
4エイブルネットワーク ロンドン店MixB(掲示板)
5Redac StrattonsRedac Strattons

※2026年9月18日時点、Google日本語検索。順位は日々変わります。

日本から検索しても、イギリスから検索しても1位は同じ。広告なしです。「ロンドン 不動産」で検索しても1位でした。

社名そのものが検索キーワード

僕が一番すごいと思ったのは社名です。

正直、最初は「なんで東京が日本人代表なんだ」と思っていました。

広島や、北海道、九州の人だっているのに。

でも「ロンドン 東京」で検索してみてください。

航空券を探す人が大量に打つ言葉なのに、ロンドン東京プロパティーサービスが1位と3位の2か所に出てきます(2026年9月28日、日本から検索)。

Googleトレンドで見ると、「ロンドン 東京」の検索量は「ロンドン 賃貸」とは桁違い。

フライトを探している人の目に、毎日社名が触れている。

故菊地邦夫社長が狙ったのかどうかはわかりません。

でも結果として、Googleを「ハック」しているような状態になっています。すくなくともロンドン東京プロパティーはSEOにお金をかけなくても上位をキープしています。

1位のページは、本文が72文字しかない

もっと驚いたのがこれ。「ロンドン 賃貸」で1位のページは、日本語か英語かを選ぶだけの入口ページで、本文はたった72文字でした。

じゃあ何が効いているのか。整理するとこうなります。

強さの理由後発でも真似できること真似できないこと
社名に「ロンドン」「東京」が入っているサービス名やページ名に、実際に検索される言葉を入れる社名は変えにくい
全ページのタイトルが「ロンドンの不動産、ロンドンの賃貸」で始まる各ページのタイトルの先頭に検索語を置くなし。今日からできる
1987年創業、1998年からのドメイン日系メディアや団体への掲載を少しずつ増やす時間は買えない
本社と6支店の住所・電話が公開されているGoogleビジネスプロフィールを整え、住所や電話を全媒体で統一する店舗数はすぐには増やせない

※2026年9月18日時点。各社サイト、Whois、Google検索結果をもとに整理。

要するに、SEOは「サイトをいじる作業」というより、社名や店舗、メディアへの掲載といった事業の実体がそのまま順位に出ている。本文の量じゃないんです。

しかも、ロンドン東京のサイトは技術的にはむしろ古いんです。全ページが同じタイトルと説明文で、ページごとの作り分けがありません。日本語のページなのに、HTMLの言語指定は英語のまま。それでも1位なのは、28年分の信用と社名があるからです。

2024年創業のJapan London Homesが2位にいる

ロンドンの不動産屋が並ぶ通りで、光る物件広告を見比べる女性のイラスト

「じゃあ老舗には勝てないじゃん」。

そう思いますよね。僕も最初はそう思いました。

でも反例がいます。

2位のJapan London Homesは、法人設立が2024年11月。タイトルは「ロンドンの賃貸物件探し|最新情報を随時更新」で、検索語が先頭にある。

トップページがそのまま物件一覧で、家具付き・シェアハウスといった切り口ごとにページを分けている。

日系不動産を法人設立日の順に並べると、はっきりします。

会社法人設立拠点「ロンドン 賃貸」順位
ロンドン東京プロパティ1987年本社+6支店1位
Kyo Service1991年1拠点圏外
Redac Strattons1998年本社+3支店5位
Kens Estate2001年1拠点6位
Japan Services2005年1拠点16位
橘プロパティー2021年1拠点10位
Japan London Homes2024年公開なし2位

※法人設立はCompanies House(2026年9月22〜23日確認)。順位はGoogle日本語検索・イギリス設定(2026年9月18日)で、上位30件に入らないものは圏外としています。最初の表の「日本から検索」とは順位が違う会社がありますが(例:Kens Estateは日本から3位、イギリスから6位)、これは検索する場所によって結果が変わるためです。

一番古い会社が1位、一番新しい会社が2位、2番目に古い会社は圏外。古さと順位は比例しない。差がつくのは、歴史や実体を「検索結果に見える形」にしているかどうかです。

Japan London HomesはMixBなど外部サイトからのリンクを利用したり、かなりSEOに注意しているものと思われます。

ちなみに弊社JTECPCは、「ロンドン 賃貸」だと上位60件にも入っていません。完敗です。

イギリスの地方でのSEO

イギリスの地方都市になると話が変わります。

2026年9月28日に、日本から(VPNで大阪に接続して)検索してみた結果です。

検索キーワード弊社JTECPCの順位
ノリッジ 賃貸3位
グラスゴー 賃貸4位
マンチェスター 賃貸7位
ミルトンキーンズ 賃貸7位
シェフィールド 賃貸「AIによる概要」の参照元(弊社の記事のみ)

※Google日本語検索。広告と「AIによる概要」を除いた、通常の検索結果での順位です。順位は日々変わります。

「シェフィールド 賃貸」では、検索結果の一番上に出る「AIによる概要」が、弊社の記事だけを参照して家賃相場を答えていました。

どれも1ページ目です。ロンドンで勝てないなら、勝てる場所で戦う。ランチェスター戦略です。

後発の戦い方って、結局こういうことなんだと思います。

正直に言うと、僕がロンドン以外の地方都市の賃貸をやろうと決めたきっかけのひとつは、このロンドンの激戦区の会社たちとまともにSEOで勝負するのが大変だと思ったからです。

ただ、地方の仲介も楽じゃない。

時間はかかるし、地方の不動産屋に「この人はちゃんと払えます」と毎回説明しなきゃいけない。

儲からなくはないけど、めちゃくちゃ儲かる商売でもない。つまり僕ががんばればある程度はできるけど、他人にお願いできることが少ない。

競合がいない場所には、それなりの理由があるんですね。

地名のカタカナ表記ひとつで、検索される量が変わる

講義の合間に、会場で「イギリスの地名の表記クイズ」をやりました。日本語で検索する人は、地名をカタカナで打ちます。どっちの表記で打つかで、記事が見つかるかどうかが変わるんです。

地名表記の候補検索で多いほう・対策
Norwichノリッジ/ノリッチノリッジ
Edinburghエディンバラ/エジンバラどちらもあり。記事に両方入れる
Readingレディング/リーディングAIクイズではリーディングが100%。ただし「reading(読書)」など地名以外の検索も混ざる
Bathバース/バスバス(お風呂・乗り物)が混ざるので注意

※講義当日に見せた検索データにもとづく僕の判断です。

当日つかった英国地名SEOクイズは、こちらからダウンロードできます。

このクイズはAIに作ってもらいました。ロンドン郊外のReadingを「レディング」と「リーディング」のどちらで表記するか聞くと、AIの答えは「リーディングが100%」でした。

現地の人なら、発音は「レディング」が近いと分かっています。それでもAIは、検索される量が多い「リーディング」を選んだようです。

レディングくらいの簡単なスペルなら、英語で入力する人も多いと思います。問題は、EdinburghやCotswolds、Shrewsburyのようにスペルが難しい地名。日本からはカタカナで検索されることも多く、やっかいな問題です。

表記が割れる地名は、わざと両方の表記を記事に入れる。地味だけど、地方の記事を書くなら効きます。

実は弊社も、最初はノリッジの記事を「ノリッチ」で書いていました。検索されているのは「ノリッジ」のほうだと分かって、タイトルを直し、本文にも両方の表記を入れました。ただ、2026年9月28日の時点では、Googleの検索結果にはまだ古いタイトル(ノリッチ)が表示されたままで、それでも「ノリッジ 賃貸」で3位に入っていました。タイトルを変えても、検索結果に反映されるまでには時間がかかります。

サイトを3つに分けた理由

家やサウナの模型が並ぶ机で、ノートに向かって考える男性のイラスト(3つのサイトのイメージ)

弊社は今、サイトを3つ運営しています。

もともとはjtecpc.co.ukの一つでした。

実はこれもイヤイヤ三つにわけました。

サイト中身位置づけ
JTECPC(jtecpc.co.uk)イギリス地方都市の賃貸物件の紹介本業。ここが一番大事
サウナギルド(saunaguild.com)イギリスのサウナ情報サウナの専門サイト
JPIN(jpin.uk)英国のニュースや日々思うことPVは気にせず、書きたいことを書く場所

実はこれ、最初から分けていたわけではありません。

もともとは賃貸のJTECPC本体のサイトで、英国のニュースもサウナの情報も全部出していました。

PV稼ぎに英語で人狼ゲームをしようみたいな記事がいつもトップでした。

そうしたら2021年、Googleのアルゴリズムの変更ですごく悪い判定をもらって、PVが急に下がったんです。Googleは、いろいろ書いてあるサイトより、ひとつのテーマに絞った専門サイトを上に出すようになっていました。

だから賃貸は賃貸の専門サイトに、サウナはサウナの専門サイトに分けた。

僕の本性はブロガーなので、なんでも書きたくなるし、調べたくなる。

関係ないこともつい書いてしまう。そういう話はJPINに集めて、PVは気にせず、日々思っていることを伝える場所にしています。

イギリス地方都市の賃貸探しはJTECPCへ

イギリスの地図の前で家の鍵を手に、オンラインで家族に地方都市の物件を案内する男性のイラスト

ロンドンのSEOでは完敗の弊社ですが、マンチェスター、エディンバラ、オックスフォード、ノリッジなど、日系の不動産屋が少ない地方都市の賃貸探しを日本語でお手伝いしています。内覧の代行やリモートでのサポートもできます。

対応している地方都市の一覧、料金プランをご覧のうえ、お問い合わせフォームかLINEからお気軽にどうぞ。

講義全体のまとめ(ほかのテーマの記事一覧)はこちらです(JPINの記事です)。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

西島伸一朗のアバター 西島伸一朗 代表 / ディレクター

JTECのディレクターであり創業者。
2007年にロンドンへ移住。アクトンの日系不動産仲介を皮切りに、ノッティングヒルやフィンチェリー、さらにイーリングといった地域で豊富な賃貸仲介経験を積み、独立。Level 3 Certificate in Letting and Managing Residential PropertyとLevel 3 Award in The Sale of Residential Propertyと取得済。
趣味はバドミントン。グーナーであり、Saunaguildの運営者。

目次