イギリス新築物件不動産の建物保証とその仕組み

新築のアパートの前にいるアジア系の家族と不動産屋
あやか

築浅の物件をイギリスで購入しました。建ってから4年になります。最近自分の住まいから水漏れがあり、隣接する部屋にも被害が出ました。保険がおりますか?

目次

イギリス新築物件の「建物保証(Building Warranty)」その仕組みとは?

カビを壁に見つけた女性

イギリスで新築物件を購入する際、多くの人が気にするのが建物の品質や施工不良のリスクではないでしょうか。そんな不安を解消するために存在するのが、イギリス特有の建物保証(Building Warranty)という仕組みです 。

日本では品確法などで10年間の瑕疵担保責任が義務付けられていますが、イギリスにも似たような、しかし独自のルールが存在します。今回は、イギリス不動産購入の必須知識であるこの保証制度について、業界のスタンダードであるNHBCを中心に、その中身を紐解いていきましょう。

イギリスの主要な保証スキーム:NHBCとは?

イギリスで新築物件を探していると、必ず目にするのがNHBC(National House Building Council)という名前です 。これは英国で最も一般的な建物保証を提供する団体で、イギリスの新築物件の大部分(約80%とも言われます)がこのNHBCの保証、通称Buildmark(ビルドマーク)によってカバーされています。

簡単に言えば、開発業者が途中で倒産したり、建物に欠陥が見つかったりしたときに、購入者を守ってくれる保険のようなものです。住宅ローンを組む際も、銀行はこのNHBC(または同等の保証)が付いていることを融資条件にすることがほとんどです。

「10年保証」の内訳と仕組み

建物の保険のカバーする相手が変わる図

10年保証と言われますが 、実はこの10年間はずっと同じ内容でカバーされるわけではありません。大きく2つの期間に分かれているのがポイントです 。

  • 最初の2年間(Builder Warranty Period) 引き渡しから最初の2年間は、開発業者(個人のビルダーや建設業者デベロッパーなど)自身が責任を持ちます。 この期間はカバー範囲が広く、構造的な欠陥だけでなく、建具の不具合や配管の問題など、いわゆる初期不良の多くが含まれます。何かあれば、まずは開発業者に連絡して直してもらう期間ですね。
  • 3年目から10年目(Insurance Period) 開発業者の責任期間が終わると、残りの8年間はNHBCなどの保証会社が直接リスクを引き受けます。 ただし、ここでは構造上の重大な欠陥(屋根、壁、基礎など)に対象が絞られるのが一般的です。細かい不具合は対象外になるので注意が必要です。

具体的に何がカバーされるのか?

では、具体的にどんなトラブルが保証の対象になるのでしょうか 

基本的には建物の安全性や居住性に深刻な影響を与えるダメージです。 例えば、基礎の沈下、壁の大きなひび割れ、屋根の欠陥による雨漏りなどがこれに当たります。「普通に住んでいたら起きないはずの重大な欠陥」に関しては、修理費用が補償される仕組みになっています。

NHBCによる最低カバー額は、2025年4月は1200GBPでした。この金額は保険の免責金額(自己負担額:、Excess)のような意味ではなく、総被害額が1200GBP以上であれば全額NHBCが負担します。

保証の対象外となるもの(Exclusions)

ここが一番の落とし穴なのですが、新築だから全部直してもらえると考えるのは危険です。以下のようなケースは、基本的に保証の対象外となります。

  • 自然な摩耗や経年劣化(カーペットのすり減りや壁紙の剥がれなど)
  • 嵐や洪水などの天災(これは火災保険など、別の住宅保険でカバーすべき領域です)
  • メンテナンス不足による不具合(雨どいの掃除を怠って水漏れした、など)
  • 結露(換気不足によるものなど)

あくまで施工ミスや構造欠陥に対する保証であり、家のメンテナンスフリーを約束するものではない、という点は理解しておきましょう。

その他の保証スキームとトレンド

NHBC,Premier Gurantee,LABC,Checkmateの比較表

長らくNHBCの一強時代が続いていましたが、最近では他の保証プロバイダーも増えてきました。

Premier Guarantee(プレミア・ギャランティー)

NHBCに次ぐ規模と認知度を持つ保証プロバイダーの一つです。高級物件や大規模開発に強いのが特徴。

LABC Warranty

役所の検査とセットで効率的。地方自治体の建築管理部門と連携が強みです。

Checkmate(チェックメイト) 

HBCやPremierに比べるとシェアは小さいですが、独自のニッチな市場を持っています 。既存の建物をリノベーションして新築扱いとして販売するような、特殊なケースで強みを発揮することがあります。

まとめ:イギリスで不動産購入者が知っておくべきこと

イギリスで新築物件を買うなら、どの保証がついているかを確認するのはマストです 。そして何より、最初の2年間に不具合を出し尽くして直してもらうことが、資産価値を守るカギになります。

引き渡し前の内覧や、住み始めてからの不具合チェックは遠慮せずに細かく行いましょう。それが、安心できるイギリス生活への第一歩です。

イギリスでの物件の購入を考えている際は、JTECにご連絡ください。

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この記事を書いた人

西島伸一朗のアバター 西島伸一朗 https://jtecpc.co.uk/

Japan TEC Property and Cleaning Service Ltd.(JTECPC.CO.UK)のディレクター。
2007年にロンドンへ移住。アクトンの日系不動産仲介を皮切りに、ノッティングヒルやフィンチェリー、さらにイーリングといった地域で豊富な賃貸仲介経験を積み、独立。2019年より本業。趣味はバドミントン。#グーナー。

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