山田さん物件をロンドンの中心部で買うつもりなのですが、リースでしか買えないようで、期間が99年とか999年とかなんですが、この期間が終わるとどうなるんですか。
まあ私自身はきっと 100年以上も生きれないので、どっちでもいいのですが。
そんな疑問をお持ちのイギリス、ロンドン在住の方は是非最後まで読んでいただければ、参考になると思います。
99年のリースはともかく、999年とかのリースなんてもうファンタジーの世界のような契約がイギリスではまかり通っています。その住宅本当に1000年も将来建っていると思いますか。
筆者はイギリス、ロンドン在住16年で、不動産業界に計14年働いている現役のプロの不動産業界人です。
このリースホールドという、壮大な罠について説明させていただければと思います。つまりリースホールドとはあなたと貴方の家系が永続的に庶民であり、決して貴族にはなれないカラクリについてです。
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イギリスで物件を所持する四つの形式
四つのイギリスにおける不動産の所持の形式について説明します。
1. フリーホールド (Freehold)
- 土地と建物の両方を完全に所有する形式です。
- 所有権は無期限であり、法律上の制限がない限り、自由に使用や改築が可能です。
- 一般的に、一軒家 (detached house, semi-detached house, terraced house) ではこの形式が多いです。
- いわゆる日本の人が物件を買う感覚にこれが一番近いです。
メリット
✅ 完全な所有権があるため、家の管理やメンテナンスに関して自由度が高い
✅ 維持費や管理費の支払いが不要(ただし、自治体のカウンシルタックスなどの税金は必要)
デメリット
❗ 管理義務はすべて所有者にあるため、修繕や保険の手配が必要
❗ 集合住宅ではほとんど採用されない形式
2. リースホールド (Leasehold)
- 土地の所有権は大家 (フリーホルダー) に属し、建物の使用権を一定期間保有する形式です。
- 一般的に、フラット(日本のマンションに相当)や集合住宅で採用されることが多いです。
- リースの期間は「99年」「125年」「999年」などが一般的で、期間が短いほど物件の価値が下がります。
メリット
✅ 初期費用がフリーホールドより安い傾向がある
✅ 建物の外壁や共用部分の維持管理はフリーホルダーが行うため、負担が軽減される
デメリット
❗ 毎年「グラウンドレント (ground rent)」や「サービスチャージ (service charge)」の支払いが必要
❗ リース期間が短くなると物件の価値が下がるため、リース延長の費用が発生する場合がある
❗ フリーホルダーとの交渉が必要な場合がある(例:大規模な修繕やペット飼育の許可など)
リースが期限切れになるたびに貴方はフリーホールダー(地主に)お金を払ってリース期間を延長しなければなりません。地主とはイギリスの王侯貴族だったり、英国国教会だったりします。リースとは貴族が貴族として長ら得るため作られた 100年、1000年スパンの壮大な庶民への罠と言えるかもしれません。


3. コモンホールド (Commonhold)
- リースホールドの代替として2002年に導入された新しい形式です。
- 土地と建物の区分所有権があり、各住戸の所有者が「コモンホールド協会 (Commonhold Association)」の一員として、共用部分の管理に関わります。
メリット
✅ リース期間の期限がなく、更新の必要がない
✅ 共用部分の管理が透明性のある協会を通じて行われるため、フリーホルダーとの対立が起こりにくい
デメリット
❗ 導入されて間もないため、コモンホールドの物件は非常に少ない
❗ 各オーナーが共用部分の維持管理に責任を持つため、意見の対立が起こる可能性がある
4. シェア・オブ・フリーホールド (Share of Freehold)
- フラット(マンション)に多く見られる形式で、各住戸のオーナーがフリーホルダーの権利を共有する形態です。
- 例えば、1棟4戸のフラットの場合、4人のオーナーが共同で土地の所有権を持ち、フリーホルダーとして管理を行います。
メリット
✅ リースホールドに比べ、リース延長の際の手続きが容易で、コストも低い
✅ 共用部分の管理に直接関与できるため、サービスチャージの無駄遣いを防ぎやすい
デメリット
❗ 共同で管理するため、意見がまとまらない場合にトラブルになる可能性がある
❗ 共同所有者の破産や債務不履行が影響を及ぼすリスクがある
四つの物件の所持の違い
| 形式 | 所有権の範囲 | リース期間 | 管理費 | 管理の主な責任者 |
|---|---|---|---|---|
| フリーホールド | 土地と建物 | 無期限 | なし | 所有者 |
| リースホールド | 建物(使用権) | 期限あり | 必要 | フリーホルダー |
| コモンホールド | 土地と建物 | 無期限 | 必要 | コモンホールド協会 |
| シェア・オブ・フリーホールド | 土地と建物(共有) | リース期間あり | 必要 | 共同所有者 |
シェア・オブ・フリーホールドとコモンホールドの比較
| 特徴 | シェア・オブ・フリーホールド | コモンホールド |
|---|---|---|
| リースの有無 | あり(延長は容易) | なし(無期限) |
| グラウンドレント | 不要 | 不要 |
| 共用部分の管理 | フリーホルダーが共同管理 | コモンホールド協会が管理 |
| リース延長の必要性 | 必要(通常リース延長は簡単) | 不要 |
| 物件の普及状況 | 多くのフラット物件に存在 | 物件数は非常に少ない |
| 手続きの複雑さ | 法的手続きや合意が必要になる場合がある | 協会のルールに基づき公平に運営 |
リースホールドの不公平のため、現在コモンホールドという新しい物件の所持方法ほうが2002年から導入されました。
なぜシェア・オブ・フリーホールドにリース期間があるのか?
- リースの存在は法的な構造上のルールであり、イギリスの不動産法では「リースホルダーが所有する権利」と「フリーホルダーが管理する権利」を明確に区別する必要があります。
- そのため、シェア・オブ・フリーホールドでもリースの設定が必要とされています。
リース期間の特徴と延長のしやすさ
✅ リース期間が通常より長く設定される
- シェア・オブ・フリーホールド物件では、普通のリースホルードと異なり、期間が999年や9999年など、非常に長い場合が多いです。
✅ リース延長は容易
- リースの延長は、フリーホルダー(=自分や他の住人)が管理しているため、複雑な交渉や高額な延長費用が発生しにくいです。
- 実際には、リース期間が短くなった時に、住人同士で合意し、手続きを行うのが一般的です。
リース延長の権利
イギリスでは、以下の条件を満たしていれば、リースホルダーには法的にリース延長を請求する権利があります。
リース延長の条件
- 物件の所有期間が 2年以上 であること
- リースホルダーが住んでいるかどうかは関係ない(投資目的でも可)
この権利は「Leasehold Reform, Housing and Urban Development Act 1993」に基づいて保証されています。
リース延長の方法
標準的なリース延長手続き (法的プロセス)
- 専門家に相談する
- リース延長の交渉は複雑なため、通常は弁護士 (Solicitor) や測量士 (Surveyor) に依頼します。
- 測量士は、リース延長のための「公平な価格」を算出する役割があります。
- 通知書の提出 (Section 42 Notice)
- リースホルダーは、リース延長を希望する旨をフリーホルダーに通知するための正式な文書「Section 42 Notice」を提出します。
- 通知書には以下の情報が含まれます。
- 希望するリース延長期間(通常90年の延長)
- 提案する支払い額(プレミアム)
- リースホルダーの法的権利の根拠
- フリーホルダーの対応 (Section 45 Counter Notice)
- フリーホルダーは、通知を受け取ってから2か月以内に「Section 45 Counter Notice」で回答します。
- 回答の内容は以下の3パターンです。
- 提案に同意する
- 提案を拒否し、別の金額を提示する
- リース延長の権利そのものを拒否する(非常にまれ)
- 交渉と合意
- フリーホルダーの提示額に対して交渉が行われます。
- 合意に至らない場合、First-tier Tribunal (Property Chamber)(不動産専門裁判所)に持ち込むことができます。
- リースの更新と登記
- 双方が合意したら、新しいリース契約が正式に登記され、延長手続きが完了します。
リース延長に関する重要なポイント
リース期間が80年を切る前に延長するのが理想的
- リース期間が80年未満になると、「マリッジバリュー (Marriage Value)」という追加費用が発生し、リース延長のコストが大幅に上がります。
- そのため、リース期間が85年~90年程度の段階で延長するのが最も理想的です。
リース延長費用
リース延長の費用は以下の要素によって決まります。
- 物件の市場価値
- リースの残存年数(短いほど費用が高くなる)
- グラウンドレント (Ground Rent)
- マリッジバリュー (Marriage Value)(リース期間が80年未満の場合)
延長後の契約
- リースホルダーが法的権利に基づいて延長を行う場合、以下の条件が適用されます。
- リース期間が90年延長される
- グラウンドレントはゼロ (Peppercorn Rent) になる
イギリスでの不動産リース延長費用の目安
以下は、リース延長費用の大まかな目安です。
| リース残存期間 | 延長費用の目安 |
|---|---|
| 95年以上 | £3,000 – £6,000 |
| 85〜90年 | £6,000 – £12,000 |
| 70〜80年 | £15,000 – £30,000 |
| 50〜60年 | £40,000以上 |
イギリスの不動産リース延長のおすすめタイミング
- リース期間が90年近く → 将来のコストを抑えるために延長を検討
- リース期間が80年を切る前 → マリッジバリューの発生を防ぐために早めの対応が理想的
999年リースとは?
歴史的背景
- 「999年リース」はイギリスの伝統的なリース契約の一種で、特にビクトリア朝時代やエドワード朝時代に広く用いられました。
- 当時は、法的に「永久に近い権利」を与えつつも、フリーホルダーが最終的な所有権を維持するために採用されました。
現代の999年リース
- 現在も新築物件などで「999年リース」が導入されることがあります。
- 実際には「フリーホールドに非常に近い権利」として販売するためのマーケティング手法でもあります。


物件が本当に999年も持つのか?
実際に999年もの間、同じ建物がそのまま残る可能性は極めて低いですが、リース契約の権利は建物が取り壊されても維持される仕組みが存在します。
建物の老朽化や再建が起こる場合
- 万が一、物件が取り壊される事態が起きても、リース権は消滅せず、新たに再建された建物に対してリースが継続されるのが一般的です。
- 建物の所有者(リースホルダー)は、再建の費用負担や新たなリース契約の交渉に関わる可能性がありますが、権利そのものが失われることはありません。
建物の改築や修繕
- 物件が老朽化しても、大規模修繕や改築により、建物の寿命を大幅に延ばすことができます。
- イギリスの歴史的な建物は、定期的な修繕や改築が行われることで、築100年以上のフラットでも住み続けることが可能になっています。
999年リースの実質的な意味
- 「999年リース」は、法律上はリースホールド物件ですが、事実上「フリーホールドに近い所有権」として扱われます。
- リース延長の手続きがほぼ不要で、資産価値が下がりにくいのが特徴です。
✅ メリット
- リース期間が非常に長いため、リース延長の心配がない
- 資産価値がリースホールドの中では最も安定しやすい
❗ デメリット
- 形式上はリースホールドのため、グラウンドレントやサービスチャージが発生する場合がある
- フリーホルダーとの契約条件により、物件の改築やペットの飼育などに制限がある場合がある
まとめ
新労働党政府は、リースホールドを完全に段階的に廃止し、コモンホールドに移行するという、より野心的な計画を進めています。しかし、特に複雑な複数所有者の建物の場合、既存の借地権の処理など、現実的な課題が残っています。政府は、これらの改革は、オーストラリアや米国を含む他の多くの国ですでに実施されているものと同様の、より公正なシステムを生み出すだろうと述べています。


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