山田さんイギリスでの不動産投資ってほんとうに儲かるんですか?
ロンドンに住んでると、これ、ほんとよく耳にします。で、結論から言うと——本当です。エリアと価格と需要が合えば、ちゃんと儲かる。
でも、ここで多くの人がこう思うわけです。「儲かるなら、なんでみんなやってないの?」って。そう、これ。むしろこっちが本質だったりします。今日は「なぜやらない人が多いのか」をお金の話まで含めてぜんぶ正直に話して、最後に投資バランスのいいおすすめ都市ベスト10まで出します。長くなるけど、数字でしっかり見ていきましょう。
イギリスの不動産って本当に儲かるの? 儲かるならみんなやってそうだけど…なんか裏がありそうで怖い。
いい質問。答えは「条件が合えば儲かる、でも始めるハードルが高い」。儲かる仕組み、みんながやらない本当の理由、そして狙い目の都市まで、ぜんぶ数字で見せるね。
そもそもイギリスの不動産投資って、何で儲けるの?


利回りの話に入る前に、土台の部分を整理させてください。「不動産投資で儲かる」と言っても、お金の入り口は実は2つあります。ここをごっちゃにすると、計算が合わなくなるんですよ。
儲けの源は「家賃収入」と「売却益」の2つ
1つ目がインカムゲイン(家賃収入)。毎月コツコツ入ってくる家賃ですね。これがどれだけ効率いいかを測る物差しが、よく聞く「利回り(yield)」。たとえば£200,000の物件で年£14,000の家賃なら、利回りは7%(£14,000÷£200,000)という具合。
2つ目がキャピタルゲイン(売却益)。将来その物件を売ったときに出る値上がり益です。£200,000で買ったものが5年後に£250,000で売れたら、差額の£50,000がキャピタルゲイン。記事の後半で出てくる「5年値上がり予測」は、まさにこのキャピタルゲインの見込みの話です。
つまり——「利回り」と「キャピタルゲイン」は別モノ。利回りは「家賃の効率」、キャピタルゲインは「売ったときの儲け」。この2本立てで稼ぐのがイギリス不動産投資の基本形です。北部は利回りで、ロンドンはキャピタルゲインで、という話につながっていきます。
ここが日本と決定的に違う:
イギリスの建物は「古くなるほど下がる」わけじゃない
日本人投資家がいちばん感覚を切り替えないといけないのが、ここ。日本だと建物は減価償却していくのが当たり前ですよね。木造なら法定耐用年数22年で価値がゼロに向かっていくし、「新築から数年で値段がガクッと落ちる」のが常識。中古になった瞬間に大きく値下がりする、あの感覚です。
イギリスは、これが逆なんです。とくにロンドンの不動産は、長い目で見れば基本的に価格が上がっていく。100年、200年前に建てられたヴィクトリア朝やジョージ王朝のテラスハウスが、むしろ味わいのある人気物件として高値で取引される。建物は「古くなったら価値が消える消耗品」ではなく、「維持・改装しながら価値を保ち、土地ごと値上がりしていく資産」として扱われます。
背景には、ロンドンの慢性的な住宅不足と、世界中から人とお金が集まり続けるという構造があります。だからこそロンドンは、利回りが薄くても投資先として選ばれ続ける。日本の「建物は減っていく」前提で計算すると、イギリス不動産の本当の妙味を読み違えます。「持っているあいだに価値が上がっていく」——この発想の転換が、まず最初の一歩です。
(ただし「毎年必ず上がる」わけではありません。短期では下がる年もあるし、中心部の超高級住宅は近年むしろ価格が軟調。あくまで「長期的には右肩上がり」という話、と捉えてください。)
でも、丸ごと懐に入るわけじゃない(コストを引く)
ここが大事。家賃収入も売却益も、そのまま全部もらえるわけじゃありません。いろんなコストを引いた「残り」が本当の利益です。引かれるものをざっと挙げると——管理会社への手数料(家賃の10〜15%)、修繕費、配管屋や業者の手配費用、建物保険、ローンの金利、空室期間の家賃ロス、そして各種税金。家賃から金利や経費を引くので、表面利回り7%でも手取り(ネット利回り)はもっと下がります。
売るときも同じ。値上がり益には譲渡所得税(Capital Gains Tax)がかかります。日本在住の非居住者でも、イギリスの不動産を売って出た利益にはイギリス側でCGTが課される(税率は改定されるので売却時に要確認)。仲介手数料や弁護士費用もここで引かれます。
整理すると、こういう式になります。
本当のリターン =(家賃収入+売却益)−(管理費・修繕・金利・空室ロス・税金などの実費)。
最初に挙げてもらった考え方とほぼ同じで、「利回り」と「キャピタルゲイン」を分けてあげると、もうバッチリです。
じゃあ実際、どれくらい儲かるの?


土台が分かったところで、利回りの話。投資なんだから、まずはここが出発点ですよね。
イギリス全体のbuy-to-let(賃貸用物件)の平均グロス利回りは、2025年4月に約7.1%。これ、2011年以来14年ぶりの高さなんですよ(出典:Paragon Bank)。日本の都心ワンルームが表面4〜5%とか言われる時代に、平均で7%。なかなかでしょ。
しかも2025年は、購入された物件の23%が二桁(10%超)の利回りを叩き出してる。2016年はこれが9%しかなかったので、高利回り物件が一気に増えた感じです。賃貸需要も底堅くて、UK平均の家賃は月£1,368、前年比+4.0%で上がり続けてます(出典:ONS, 2025年12月)。
ロンドンは、実は利回りが低い
ここ、勘違いされがちなんですけど。「イギリス不動産=ロンドン」のイメージで利回りを期待すると、ちょっとズッコケます。
ロンドンの平均グロス利回りは約4.2%。中心部(Zone1〜2)に至っては2.5〜3.5%くらい。なんでこんなに低いかっていうと、単純に物件価格が高すぎるから。家賃は高い(ロンドン平均£2,268/月)んだけど、それ以上に買値が高い。だから利回り(家賃÷物件価格)は薄くなる。
じゃあロンドンはダメなのか?っていうと、違います。ロンドンは「キャピタルゲイン(値上がり益)」と「世界最強クラスの賃貸需要」で稼ぐ場所。利回りで勝負する場所じゃない、ってことなんですよね。後でロンドンの中でも狙えるエリアを具体的に挙げます。
マンチェスターとオックスフォードで考えてみる
対照的な2都市を例に出すと、めちゃくちゃ分かりやすいです。
まずマンチェスター。ここは利回りの優等生。市内全体で5.9〜7.8%、しかも郵便番号M14エリアはなんと12%(出典:Track Capital)。物件価格(平均£254,000・出典:ONS, 2026年1月)がロンドンよりずっと安いのに、学生も社会人も多くて賃貸需要が分厚い。空室率もわずか0.8%(出典:Aldermore)。北部都市が投資家に人気なのは、まさにこの「安く買えて、しっかり貸せて、空かない」から。
一方のオックスフォード。こっちは利回りというより「需要の鉄板」枠です。ロンドンを除けば、イギリスで一番家賃が高い街。平均で月£1,913(出典:ONS, 2025年12月)。大学の街なので、学生・研究者・関連職の需要が途切れない。ただ物件価格も高いので利回り自体は控えめ。「空室リスクの低さ」という別の魅力で持つ街、という位置づけです。
つまりこういうこと。利回りで取りにいくなら北部、値上がりと需要の鉄板を取りにいくならロンドンやオックスフォード。「どこで何を狙うか」を最初に決めるのが、イギリス不動産投資のスタートラインなんです。
利回り7%超えるなら普通にやりたいんだけど…。やっぱり何か落とし穴があるんでしょ?
落とし穴っていうか、ハードルがね。みんながやらない理由は大きく2つ。「お金の壁」と「トラブルの壁」。まずお金の話から、リアルにいくよ。
なんでみんなやらないの?① お金の壁(初期費用と金利)


正直、これが一番デカい理由だと僕は思ってます。儲かるのは分かってる。でも、そもそも「始めるためのお金」が高すぎて手が出ない。
頭金は物件価格の25%が基本
イギリスのbuy-to-letモーゲージ(賃貸用ローン)は、頭金が物件価格の25%くらい必要です(75%まで借りられるのが標準)。いい金利を狙うなら40%の頭金を求められることも(出典:Hamptons)。たとえば£200,000の物件でも、頭金だけで£50,000。ここでまず多くの人がストップするわけです。
金利が高い(これが今の最大のネック)
そしてここ数年、ずっと言われてるのが金利。イングランド銀行の政策金利は2026年4月時点で3.75%(出典:Bank of England)。これを受けて、buy-to-letモーゲージの金利は2年固定で平均約5.44%、5年固定で約5.75%(出典:Moneyfacts, 2026年)。
さらに厄介なのが「ストレステスト(ICR)」。家賃収入がローン利息の125〜145%をカバーできないと、そもそも借りられないんです(出典:Property118)。しかも審査はもっと高い「ストレス金利」で計算される。金利が高い今、ここで弾かれる投資家がけっこういる。
非居住者(日本在住)は印紙税がさらに重い
これ、日本から投資する人には超重要。イギリスの印紙税(SDLT)は、賃貸用などの「追加物件」を買うと標準税率に+5%上乗せ。さらに非居住者(英国外在住)は+2%上乗せ。つまり日本在住で賃貸用に買うと、標準より+7%多く払うことになります(出典:GOV.UK / HMRC, 2025年)。高額帯では合計19%なんてことも。
具体例で計算してみましょう。ロンドンの£400,000のフラットを日本在住者が賃貸用に買うと——頭金が約£100,000、印紙税が(ブレンドで約7%として)£30,000超、さらに弁護士費用やローン手数料で数千ポンド。物件を持つ前に、ざっと£130,000以上が必要。日本円にしておよそ2,500万円。これが「みんながやらない」一番リアルな理由です。
(※印紙税の制度はイングランド&北アイルランドの話。スコットランドはLBTT、ウェールズはLTTと別制度。スコットランドは追加物件に+8%だけど非居住者の上乗せはない、など違うので注意。)
うわ…2,500万円か。たしかにこれは簡単じゃないね。でもお金を用意できたら、あとは儲かるってこと?
もう一つの壁、「トラブルの壁」が残ってる。家賃滞納、立ち退き、敷金。ただね、ここは数字で見ると意外と冷静になれるんだ。
なんでみんなやらないの?② トラブルの壁(リスク統計)


お金を用意できても、次に怖いのが入居者トラブル。家賃を払ってくれない、出ていってくれない、敷金でもめる。この3つ。実際の数字を見ていきましょう。
① 家賃滞納——でも、実は統計的には減ってる
一番こわいやつ。でも政府統計(English Housing Survey 2023-24)を見ると、いま家賃を滞納している賃借人は2%。過去12か月で一度でも遅れた人を足しても5%です。つまり95%の入居者はちゃんと払ってる。しかもこの割合、生活費高騰のピークだった2021〜22年(7%)からむしろ下がってきてる。
別の業界データでも傾向は同じ。家主側調査のNRLAでは滞納テナントは12%で、2023年3月の16%から低下。PayPropの集計でも18.4%(2023年Q2)→16.9%(2025年Q2)と下がってます。多くは約1か月遅れ程度の短期間。
ただ、油断は禁物。滞納する人は減ったけど、滞納したときの「金額」は上がってる。1件あたりの平均滞納額は£2,597で、前年から44%も増えました(出典:Reposit、業界推計)。家賃自体が上がってるので、こじれると傷が深い。だから「滞納されないテナントを選ぶ」のが効いてくるわけです(後で詳しく)。
② 立ち退きに、時間がかかる
「払わないなら出ていってもらえばいい」。日本人感覚だとそう思いますよね。でもイギリス、ここが本当にゆっくりなんです。
家賃を払わない入居者を裁判所経由で退去させる場合、申立てから実際の明け渡しまで、中央値で約27週。つまりだいたい半年かかります(出典:Ministry of Justice, 2025年Q4)。内訳は、申立て→命令7.3週、命令→令状で14.9週、令状→明け渡し9.6週。しかもこれ、裁判所に申し立てた後の話。その前の通知期間を足すと、もっと長い。
ちなみに2025年Q4だけで、家主による明け渡し申立ては全国で21,458件、実際の明け渡しは7,254件(出典:MoJ)。そしてその34%がロンドンに集中してます。半年間ノーリターンで弁護士費用までかかる可能性がある。これが「みんながやらない理由」の核心の一つ。
私の友人はロンドンの高級住宅地の物件を売却後、それを元でに三つの物件の住宅ローンを組みました。二つはうまく運用できていたのですが、一件家賃滞納者がでて、追い出すのに一年近くかかりました。その間家賃収入なし、つまり住宅ローンが払えない時期がありました😅 今は元気にやってますので、多分解決ずみです。
③ 敷金(デポジット)でもめる
退去時の敷金トラブル。これもよく聞く話。ただ実態は、思ったほど多くないんです。
イギリスでは敷金が公的スキーム(TDS・DPS・MyDeposits)で保護されてて、保護されてる敷金は全国で約470万件。そのうち正式な紛争(ADR)になるのはわずか1%(46,950件)。99%のケースは、もめずに終わってます(出典:TDS, 2024-25)。
で、面白いのが「もめる理由」の内訳。
ダントツ1位が清掃で54%。次に損傷49%、内装の塗り直し31%、庭の手入れ14%、家賃滞納10%(複数該当があるので合計は100%超)。
要するに、もめるポイントの多くは「掃除」や「原状回復」。しかも裁定では「betterment(新品弁償の否定)」原則が効くので、5年使ったカーペットを新品価格で請求…なんてのは通りません。入居時の状態をきちんと記録しておけば、かなり防げる種類のトラブルなんですよね。
けちらずに、プロのインベントリークラークにお金を払って、チェックささせてください。そうしないと万が一のときに大変です。
2026年5月、大事な法改正があった


2026年5月1日から「Renters’ Rights Act 2025」という新しい法律が本格スタートしました(イングランド)。投資家目線で大事なのは2つ。
1つ目。これまで使えた「Section 21(理由なし立ち退き)」が廃止されました。今後、退去してもらうには必ず正当な理由と証拠が要ります。2つ目。家賃滞納での強制退去ができる基準が、滞納2か月から3か月に引き上げられ、通知期間も2週間→4週間に。さらに「3年で3回以上の滞納」を対象にした新事由(Ground 8A)もできました。
つまり、ざっくり言うと「入居者の立場が前より強くなった」。立ち退きはこれまで以上に時間がかかる方向です。だからこそ——もう何度も言ってますが——最初のテナント選びが、ますます重要になったということ。


投資バランスで選ぶ、おすすめ都市ベスト10


お待たせしました。ここからが本題。「キャピタルゲイン(値上がり予測)」「空室リスク」「初期投資(物件価格)」の3つのバランスで、僕が今おすすめする都市をランキングにしました。
値上がり予測はSavillsの地域別5年予測(2025〜2029年)、物件価格はONS(公式)、利回りはParagon/Aldermore/各種業界データを使ってます。利回りは方法論で数字が動くので、目安レンジとして見てください。
イギリスの都市ベスト10
| 順位 | 都市 | 平均物件価格 | グロス利回り(目安) | 5年値上がり予測 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | マンチェスター | £254,000 | 約7.2% | 北西部 +31.2% | 総合力No.1。空室率0.8%で需要が最強クラス |
| 2 | グラスゴー | £184,000 | 約9.9% | スコットランド +29.4% | 高利回り×安い×伸びる。税制は別制度 |
| 3 | リバプール | £182,000 | 約7.4〜7.9% | 北西部 +31.2% | 安く買えて伸びしろ大。再開発も活発 |
| 4 | バーミンガム | £233,000 | 約7.0% | 西ミッドランズ +27.6% | 英第2の都市。HS2や再開発で期待 |
| 5 | リーズ | £244,000 | 約5.9%(人気エリアは8%超) | ヨークシャー +28.2% | 供給がタイトな大家市場。空室が少ない |
| 6 | エジンバラ | £290,000 | 約4〜6%(EH3は7.4%) | スコットランド +29.4% | 空室が極端に少なく値上がり期待大。ただしADS8%・家賃規制に注意 |
| 7 | ノッティンガム | 約£230,000 | 約7.5% | 東ミッドランズ +20.3% | 2大学で学生需要が分厚い |
| 8 | ニューカッスル | £203,000 | 最大9.7% | 北東部 +26.4% | 北東の中心。高利回りで人気 |
| 9 | サンダーランド | £145,000 | 約8.5〜11% | 北東部 +26.4% | 最安値で高利回り。ただ空室はやや高め |
| 10 | ロンドン(外周・再開発) | エリア次第 | 約5.5〜7% | ロンドン +15.3% | 値上がり予測は控えめだが需要は世界最強 |
(物件価格:ONS UK House Price Index 2026年初。値上がり予測:Savills Research 5年予測 2025-2029。利回り:Paragon/Aldermore/Track Capital等、業界データ。)
北部が強い理由——値上がり予測がそもそも違う
このランキング、なんで北部だらけなのか。理由はSavillsの5年予測がハッキリ示してます。北西部+31.2%、スコットランド+29.4%、ヨークシャー+28.2%、西ミッドランズ+27.6%、北東部+26.4%。一方でロンドンは+15.3%で最下位。つまり今後5年の値上がり期待は、北部がロンドンの約2倍なんです。
しかも投資マネーは正直で、2025年1〜4月のbuy-to-let購入の39%が北部・中部に集中(出典:Hamptons)。みんな同じ数字を見て、北へ動いてる、というわけ。
1位マンチェスターが「バランス王」な理由
マンチェスターが堂々の1位なのは、3軸すべてで高得点だから。値上がり予測トップ層(北西部+31.2%)、空室率たった0.8%、利回り約7.2%。物件価格£254,000は北部では高めだけど、それを補って余りある安定感。住民の32%が賃貸住まいという巨大な借り手市場もある(出典:Aldermore)。「どれか1つを尖らせる」んじゃなく「全部そこそこ強い」のがマンチェスター。初めてのイギリス投資なら、まずここを軸に考えるのがおすすめです。
安さと利回りで攻めるなら——サンダーランド・グラスゴー・リバプール
初期費用を抑えたい人には、この3都市。特にサンダーランドは平均£145,000とベスト10最安。利回りは郵便番号によって8.5〜11%。頭金25%でも£36,000ほどで始められる計算。ただし空室率はやや高めなので、立地選びとテナント選びがより重要になります。
グラスゴーは利回り約9.9%で、しかもスコットランドの5年予測+29.4%と値上がりも期待できる優等生。リバプールは£182,000で買えて利回り7%台、再開発も進行中。「安く入って、利回りで回しつつ、値上がりも狙う」なら、この3つは外せません。
「空室が怖いなら」と値上がりで選ぶなら——エジンバラ・リーズ
利回りの数字だけ追うと見落としがちなのが、「空室の少なさ」と「値上がり」。ここで光るのがこの2都市です。
エジンバラは、とにかく空かない。平均33日で成約、1ベッドなら24日で借り手がつく(出典:Citylets, 2025年)。慢性的な供給不足で、借りたい人が常に行列してる状態。スコットランドの5年値上がり予測も+29.4%と強い。弱点は物件価格が約£290kと高めで、利回りは平均4〜6%とやや薄いこと。さらにスコットランドは追加物件サーチャージ(ADS)が8%と高く、2025年の住宅法で家賃規制(レントコントロール)エリアも導入されたので、ここは事前にチェックが必要。「利回りより、空室リスクの低さと値上がりを取りたい」人向けの一軒です。
リーズも供給がタイトな「大家市場」。借り手の需要が供給の約2倍で、数日のうちに複数の申込みが入ります(出典:Dwell Leeds)。市全体の利回りは約5.9%、人気の学生エリア(LS6など)なら8%超。北部の金融ハブで社会人需要も厚く、空室の心配が小さいのが魅力です。
ロンドンで狙うなら——中心部じゃなく「外周・再開発エリア」
「やっぱりロンドンがいい」という人へ。中心部(Kensingtonなど)は利回り2〜3%で投資妙味は薄い。狙うべきは外周の再開発エリアです。具体的には:
Barking & Dagenham(バーキング)は利回り5.6%(安い物件だと7%超)で、ロンドン内で過去10年の値上がり率トップ。Newham(ニューアム/Stratford・East Ham E6)はEast Ham E6が6.0%でロンドン首位級、Stratfordはエリザベス線開通後に家賃が約29%上昇。Woolwich(ウーリッジ)・Abbey Woodはエリザベス線効果で家賃が約40%も上がったエリア。ほかにTottenham(トッテナム)5.8%、Croydon(クロイドン)4.8%あたりも再開発期待。
共通点は「エリザベス線(Crossrail)+再開発」。交通が便利になり、若い社会人が流入し、家賃も価格も底上げされてる。ロンプライム(中心高級住宅地)より、こういうZone2〜4の再開発ゾーンの方が、いまは投資効率がいいんです(出典:GuestReady / London Property Talk, 2025-26)。
番外編①:オックスフォード(ランキング外だけど推したい)
ベスト10には入れませんでした。理由は単純で、物件価格が高くて利回りが薄いから。でも「絶対に空室で困りたくない」「手堅い需要が欲しい」という人には、ロンドン外で家賃最高(£1,913/月)の大学都市オックスフォードはアリ。利回りより「安心」を買う投資、という位置づけです。ケンブリッジも同じタイプ。
世界が経済不安になったところで、オックスフォード大学とケンブリッジ大学に行く生徒が減るとは思えませんので。
番外編②:シェフィールド(惜しいけど外しました)
正直に言うと、最初はベスト10に入れてました。でも調べ直して外しました。理由は2つ。1つは市全体のグロス利回りが約4.7%とかなり薄いこと(出典:PropertyData)。2つ目が学生向け物件(PBSA)の供給過剰。学生のベッド比率が1.21:1まで悪化し、2024/25年の学生向け家賃は全英最大の−5.5%下落でした(出典:Cushman & Wakefield, 2025年)。
誤解しないでほしいのは、社会人向けの普通の賃貸住宅は、むしろ早く埋まるということ。「空室だらけの街」ではありません。ただ「利回りが薄い+学生物件は危ない」という組み合わせで、投資のバランスとしては一段落ちる。シェフィールドを狙うなら、学生物件は避けて、中心部の社会人向けに絞るのが鉄則です。
結局、儲かる人とそうでない人の差は「テナント選び」


都市を選んだら、最後はテナント選び。ここまで読んで、勘のいい人はもう気づいてると思います。利回り(物件選び)とリスク(人選び)は別物で、成否を分けるのは後者だってこと。
特にロンドンみたいな需要の高いエリアは、ここが効きます。賃貸需要は一時より落ち着いたとはいえ、ロンドンでも1物件あたり約8件の申込みが来る(出典:Rightmove)。つまり大家側が「選べる」。最初に来た人に飛びつくんじゃなくて、いちばん信用できる人を選べる立場にあるんです。
ロンドンにある日系の不動産屋、日本デスクがある不動産屋はテナント選びに大変慎重です。彼らはテナントの質をよく知ってます。
テナント選びの黄金ルール
イギリスでは入居審査(リファレンスチェック)が制度として確立してます。やることは決まっていて、これをサボらないだけでリスクの大半は消せます。
まず収入チェック。目安は「年収が年間家賃の2.5倍(=月額家賃の30倍)以上」。たとえば家賃£1,000/月なら、年収£30,000は欲しい。これに満たない場合は保証人(年間家賃の3倍の収入)をつける。さらに信用調査、在職確認、前の大家からの紹介、そしてRight to Rent(在留資格の確認)。このRight to Rentはイングランドでは法的義務で、怠ると1人あたり最大£5,000〜£10,000の罰金(再違反だと£20,000、しかも人数分)。ここは絶対に外せません。審査自体は1人£20〜£40程度です。
テナント希望者がどのくらいその会社に働いているか、パーマネントかテンポラリーかも大事です。家賃のことだけを考えるなら、学生もいいかもしれません。保証人の給与にもよりますが。ただ学生は若いので物件の扱いには不安はありますが。
保険でダメ押し
仕上げに家賃保証保険(Rent Guarantee Insurance)。1日46ペンスくらいから入れて、滞納時に最大12か月分の家賃と、立ち退きの法的費用を最大£100,000までカバーしてくれる。条件は「テナントが審査に合格してること」。つまりちゃんと審査する→保険にも入れる→ほぼ無敵、という流れです。
ちなみに、審査をサボって問題のある入居者を入れちゃうと、立ち退き完了まで業界推計で最大約£31,886、約9か月かかったというデータもあります(出典:業界調査)。半年〜1年、家賃ゼロで修繕費まで持ち出し。これを£20〜£40の審査と、1日46ペンスの保険で防げるなら、安いもんですよね。
最後の分かれ道:「不動産屋に丸投げ」か「自分で管理」か


ここ、実は利回りの次に大事な選択です。
というか、これで「イギリスのどこで買うか」まで変わってきます。
不動産投資って、買って貸して終わり…じゃないんですよね。地味で泥くさい仕事がずっと続きます。トイレが詰まったと言われれば配管屋を手配し、退去のたびに壁を塗り直し、ボイラーが壊れれば修理業者を呼び、定期点検も入れる。深夜に「お湯が出ない」と連絡が来ることもある。この「管理の現実」を誰がやるのか。選択肢は2つです。
選択肢A:全部お金を払って不動産屋に丸投げ
不動産屋(管理会社)にフルマネジメントで任せる方法。費用は月額家賃の10〜15%くらい。そのかわり、テナントの審査も、入退去の立会いも、家賃の集金も、配管屋や修理業者の手配も、敷金トラブルの対応も、ぜんぶやってくれます。
メリットは、手間がゼロに近いこと。そして場所を選ばないこと。自分がロンドンに住んでいても、北部のマンチェスターやリバプール、サンダーランドみたいな高利回りエリアを遠隔で持てる。日本に住みながらの投資なら、もう実質これ一択です。デメリットは、利回りから毎月10〜15%が引かれること。表面7%でも、手取りはぐっと下がる。
ただ日系の不動産屋にかぎるとどうしてもロンドンの物件になります。というのも彼らの得意なテナント探しは、ロンドンに本社がある日系の会社です。JTECではロンドン以外の物件管理もおまかせください。
選択肢B:自分で管理する → だから「住んでる近く」で買う
手数料を払いたくない、自分でコントロールしたい、という人は自主管理。
ただしこれ、物件が近くにないと現実的に無理です。トラブルのたびに車で1時間も2時間もかけて駆けつける、なんて続かない。だから自主管理派は、自然と「自分が住んでるエリアの近く」で買うことになる。
ロンドン在住なら、ロンドン(中心部じゃなく、さっき挙げた外周・再開発エリア)が現実的な選択肢になるわけです。
メリットは、管理手数料が浮くこと。業者も自分で選べるから、修繕費を抑えやすい。デメリットは、当然ながら手間と時間。配管屋の手配も、内見の立会いも、深夜の電話も、ぜんぶ自分。利回りは高く出るけど、その分「自分の労働」を投下してる、とも言えます。
なるほど…利回りだけじゃなくて、「自分がどう不動産と関わりたいか」で買う場所が決まるんだね。
そういうこと。「丸投げで北部の高利回り」か、「自分で管理できる範囲=住んでる近く」か。先にここを決めると、都市選びがスッと決まるよ。
というわけで、長くなりましたが。「イギリスの不動産は儲かるのか?」への僕の答えは、「エリア・需要・価格が合えば、儲かる。でも「お金の壁」と「人選び」、そして「管理スタイル」を決めてからじゃないと、儲かるうんぬんでなく、トラブルを抱えることになります。これに尽きます。
みんながやらないのは、初期費用が高くて(日本在住なら2,500万円〜)、金利も5%超えで、ローン審査のハードルが高いから。そして、その壁を越えた後も、変なテナントを選ぶリスクや、配管・壁塗り・修理といった泥くさい管理が待っているから。
だからこそ、最後はこの問いに戻ってきます。「全部お金で解決して不動産屋に丸投げするのか、それとも自分の手で管理したいのか」。丸投げなら、住む場所に縛られず北部の高利回り都市を狙える。自分でやるなら、ロンドンみたいに「自分が住んでる近く」で選ぶ。ここを先に決めると、ベスト10のどの都市が自分に合うか、自然と見えてきます。
どの都市がいいか、いくら必要か、丸投げと自主管理どっちが向いてるか。物件探しでもテナント選びでも管理の相談でも、迷ったらいつでも声をかけてください。ロンドンの中心部から外周エリア、北部の高利回り都市まで、現場の目線でお手伝いします。ちなみに日本にお住まいでも海外投資用のローンを組んでくれる東京スター銀行のようなところもあるようです。









